安田女子大学友末ゼミの学生は、医療法 人せのがわの見学をする授業がある関係で、
そこでの取り組みを卒業論文のテーマにする学生もいる。
そのいくつか紹介すると・・・
(1) テニスクリニックが精神障 害 者の心 身に及ぼす影響
(2) 精神障 害 者に対する園 芸療法の効用
(3) 笑いが心 身に及ぼす影響
(4) 精 神 科救急医療施設における社会復帰支援政策について
(5) 広 島 県におけるフードバンクの実 態と今後の展開
瀬野川病院や FOOT&WORKで行われている諸 活 動に着 目し、
データを取ったりアンケート調査をすることで、
テニス教室、園 芸、ビデオ鑑賞、お好み焼きやパンの製作・販売が、
障 害 者のリハビリとして効果があるということを示している。
今回はこの(5)を紹介する。
食品ロスの削減対策として代 表 的な活動であるフードバンクに焦点を当て
、
フードバンク「ゆるティ」(FOOT&WORKの事 業の一つ)の活動についての考察を行った木谷文香さん(家政学部生活デザイン学科)の卒業論文。この「まとめ」の一部を紹介する。
* * * * *
研 究の目 的は、次の2点。
①フードバンクにおける課題を実地調査の中で明 確にする。
②広 島 県のフードバンクの今後の展開を考える。
文献調査で分かったこと。
▪ 日本の食品ロスの量は年間523万トン。換算すると、日 本 人1 人当たり年間約38kg。
▪ 1日当たりだと、おにぎり1個分のご飯を捨て続けていることになる。
▪ 食品ロスは半分が家庭から出るもので、私たち一 人ひとりの心がけが大事になってくる。
普段から食べ残さないなど、当たり前だけど意外とできていないことを、
忘れずにやり続けよう・・・と私は決心した。
実地調査では、フードバンクには次の3つの課題があることが分かった。
① 寄贈される食 品 不 足 ② 社会の理 解 不 足 ③ 活動資 金 不 足
まず、①の寄贈される食 品 不 足に関して。
食品の寄付を呼び掛けるだけでは中 々集まらないので、
広 島 県独自でフードバンクに寄贈することを義 務 化できたら良いと思う。
フランスのように、企業に寄付を強制することは、
フードバンクの食 品 不 足に対する効 果 的な解 決 策になる。
次に、②のフードバンクに対する社会の理 解 不 足に関して。
一 人ひとりがそのことを意識できるように、工夫を加えていくしかない。たとえば、
アメリカのシェアテーブル(苦手な食品を他の生 徒にシェアできる仕 組み)のように、
大 人だけでなく子どもたちにも食品ロスの現状について理解させるようにすることで、
世の中のフードバンクに対する理解が深まる可 能 性がある。
最後に、③の活動資 金 不 足に関して。
国や県が補 助 金を用意することが一 番の理想だ。
アメリカやカナダではフードバンク活動に、年間数千万ドルの補 助 金が出ているが、
日本の行政にこれを求めても無理。私たちが多くの人に食品ロスの現状を伝え、
フードバンクに対する理解を広めながら、寄 付 金を募ることが大切だと考える。
以下は「ゆるティ」で実地調査をさせて頂いたときの写真。

パチンコ店のご理解ご協 力で頂いた景品のお菓 子の仕 分け。
このように期限ごとに分けることで、廃棄を防いでいる。

能登半島地震があった石川県に送るという支援物資。
化粧品、生理用品、シャンプーなどの日用品や、かっぱえびせんも大量にあった。

企業から送られてきた寄 贈 品。
家の中で眠っている食品などを、職場に持ち寄り寄贈する。
こういう取り組みをしている企業もある。