コラム第（だい）37回「ケイレンと禁酒」

私（わたし）はケイレン体質（たいしつ）だ。
若（わか）い頃（ころ） 、夏（なつ）のテニスの試合（しあい）で全 身（ぜんしん）ケイレンがきて、救急車（きゅうきゅうしゃ）で運（はこ）ばれたことが何回（なんかい）もある。
最近（さいきん）は夏にテニスはしないが、炎天下（えんてんか）で活動（かつどう）した日などは、寝（ね）てるときに脚（あし）がよくつる。

 

そのときは、ロキソプロフェンを塗（ぬ）り、漢 方（かんぽう）の68番（ばん）(芍薬甘草湯（しゃくやくかんぞうとう）)をOS-1で飲む。
そうすると、2～3分もしないうちにだいたい治まる。
つったところにキネシオテープを張っておくと、万全だ。

 

それでも治まらないとき、全 身（ぜんしん）に広（ひろ）がりそうだったら、救急車（きゅうきゅうしゃ）を呼ぶしかない。
大急ぎで病院（びょういん）に行（い）き、点滴（てんてき）をしてもらうことになる。

 

そんな緊迫（きんぱく）したときに試（ため）してもらいたいのが、焼酎の解毒作用（さよう）を利用（りよう）するという方 法（ほうほう）だ。
といっても、飲むのではない。焼酎をつった筋肉（きんにく）にかけ、軽（かる）くマッサージする。
そうすると、あらら、不 思 議（ふしぎ）!
その瞬間、つった筋肉（きんにく）がす～っと柔（やわ）らかくなり、ケイレンも治まっていく。

 

ただし、焼酎なら何（なん）でもよいという訳ではない。アルコールは濃いめの方（ほう）が良（よ）く、
たとえば宝焼酎「純」の35度。これなんか値段も手ごろでお薦めだ。

 

さて、これでケイレンが治まったとしても、
薬（くすり）や焼酎を毎日（まいにち）寝床に準備（じゅんび）しておかなくてはならない、というのは心許ない。めんどくさい。
そもそもケイレン自体（じたい）が来ないようにすることは、できないのか。

 

私（わたし）はスポーツ科学（かがく）が専門（せんもん）だから、シニアの健康（けんこう）のためのトレーニングとはどのようなものか、よく知（し）っている。
しかし、ケイレン防止（ぼうし）に直接（ちょくせつ）つながるわけではないので、あまりやる気（き）が起きない。
薬（くすり）やサプリメントに頼（たよ）るしかないのか、と思（おも）っていたところ・・・あることに気付いた。

 

それは・・・夜ケイレンが来（く）るとき。その日（ひ）たくさん運 動（うんどう）したとは限（かぎ）らない。
運 動（うんどう）の量（りょう）ではなく、ご飯の量（りょう）。とくに、アルコールの量（りょう）が多（おお）いのだ。

 

食（た）べ過（す）ぎ飲（の）み過（す）ぎだとどうなるか・・・食（た）べたものやアルコールを分解しなきゃと、
血液が胃・腸・肝臓・小腸などにどんどん回される。
結果（けっか）、下 半 身（かはんしん）に回（まわ）る血流（けつりゅう）量が減 少（げんしょう）し、脚（あし）の疲労（ひろう）が取（と）れずにケイレンを引（ひ）き起こす。

 

こんな理論（りろん）は、どこにも書（か）いてない。実 際（じっさい）、暴飲暴食の夜、
「下 半 身（かはんしん）の疲（つか）れが取（と）れにくい」と感（かん）じたことは、30代（だい）40代（だい）の頃までは無かった。

しかし、今（いま）は違（ちが）う。60過（す）ぎてからは、細かくはっきりと感（かん）じられる。
「今日（きょう）はどうも右の大腿二頭筋あたりに血液が回ってないな～」というように。

 

もし、この感覚（かんかく）が正（ただ）しければ、晩飯を減らしアルコールを止（や）めると、
夜のケイレンは減ることになる。「よし! それは試（ため）してみる価値（かち）がある!」
私（わたし）は2023年（ねん）12月（がつ）17日、晩飯の炭水化物を減らすとともに、禁酒を始（はじ）めた。

 

実（じつ）はこれまでにも、血液検査（けんさ）の結果（けっか）がよろしくないということで、
禁酒宣言（せんげん）をしたことは何回（なんかい）もある。しかし、1か月（げつ）続（つづ）いたことが無（な）い。
夏は生ビールをがぶ飲（の）み。冬は酎ハイを運転し・・・じゃなかった、歩（ある）きながら飲（の）み続（つづ）ける。
そういう生活（せいかつ）を続（つづ）けていた自分（じぶん）、「どうせまた、飲（の）み始（はじ）めるわ」と予測していた。
それが、今回（こんかい）は半 年（はんとし）以上（いじょう）も余裕（よゆう）で続（つづ）いている。いったい何 故（なぜ）か? その理由（りゆう）は?

 

ひとつには、「禁酒でケイレンが減る理論（りろん）」を、自らが被験者となって実地調査（ちょうさ）しているという、
研 究 者（けんきゅうしゃ）としてのモチベーションがあるからだろう。
幸（さいわ）いにも夜の飲食量を減（へ）らして以来、ひどいケイレンは起きていない。
この新理論（りろん）は正（ただ）しい!と主 張（しゅちょう）するための客 観（きゃっかん）的データも取（と）りたい、と思（おも）っているところだ。

 

もう一（ひと）つ。もっと大（おお）きな理由（りゆう）がある。そう!ノンアルコールビールだ。
一昔前のノンアルは、とても飲めたものではなかったが、最近（さいきん）のノンアル、
安いのに本物と間 違（まちが）えるくらいうまい。毎晩「これでいいじゃん」と満 足（まんぞく）している。

 

この夏は外で飲（の）み過（す）ぎるということがなくなり、なんか儲けたような気もしている。
これも理由（りゆう）の一（ひと）つだ。その良（よ）い例が、マツダ・ズームズーム・スタジアム。

 

あそこは、あんまり大（おお）きくないコップなのに、生ビールが800円（えん）もする。
それを、カープが勝ってると気分（きぶん）が大（おお）きくなって10杯以上（いじょう）飲む。
負けてたら負けてたでヤケクソになって10杯以上（いじょう）飲む。
暑（あつ）い日のデーゲームのときなど、いつもそんな感（かん）じだったのが、今年（ことし）の夏はというと・・・

 

水筒に入（い）れてきた100%のグレープフルーツジジュースか、自販機の紅茶。
子（こ）どもらと一緒（いっしょ）。も～～う、ぜんぜん安くついてる!
私（わたし）の禁酒はこの先も当分続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はず。

広々した空（そら）の下（もと）でグィッと飲むビールは最 高（さいこう）!