久 々にアタマだけでなく、カラダも一緒に引き込まれるような書籍に出 合った。
「あの島のひとたちは、ひとの話を聞かない」 (青土社)
著 者は、精 神 科 医の森川すいめいさん。2016年に出された本だ。
内 容を一言でいうと、自殺の少ない地域を実地調査し、その理由を考察することを出発点に、
自殺する可 能 性が高い人の特徴や、自殺防止につながる工夫を提 示する・・・というものだ。
なぜ、引き込まれたかと言うと・・・
「自殺」という部分を「ひきこもり」と入れ替えても成り立ちそうな箇 所が多くあったのと、
何 度も行ったことのある広 島 県の下 蒲 刈 島が、調査先の一つだったからだ。
以下、この本の中から、ひきこもり支援の際にも使えると感じた部分をピックアップし、
ひきこもり対策用に書き換えて提 示してみる。
① 孤立すると世の中の変化に対する対 応 力が弱まり、ひきこもりに至る可 能 性が高くなる。
② ひきこもってしまった人には、「対話主義」で対応する。具体的には・・・
▪ 軽く、楽しく、自 然なコミュニケーションを取る。
▪ ほどよい距 離感を保ち、強い干渉はしない。
▪ ただ対 話をするだけ、相手を変えようとしない。
③ それでもうなくいかないとき・・・
▪ 仕 方ないと思わず、何かができると考える。
▪ こころの持ち方を工夫し、笑 顔を増やす。
▪ 一 人で抱え込まず、皆で解決する。
④ 大事なのは、相手のことばや行動の変化をみて、自分の反応を決めること。
そこでは見返りを一切求めず、ただ対 話をするだけ。
この、相手を変えようとしない対話が、結果として相手を良い方向に変えて行く。
このような対話は「オープンダイアログ」と呼ばれ、
その発祥の地フィンランドでは、精 神 面に困難を抱えた人に対して、
大きな成果を上げているという。
その考え方からは、ひきこもり対策の「哲学」というものがはっきりと読み取れるし、
日常生活や仕事の場面でも使えそうな部分がたくさんあるので、
本コラムでも近々紹介していく予定である。
「じゃらん 下 蒲 刈 町 三 之 瀬の観光スポット」より https://www.jalan.net/
呉市の南東にある安芸灘大橋を渡ると、のどかな下 蒲 刈島(写真手前側)に到着。
広 島 市 内からだと、車で1時 間。人口は減 少 中で、、現在約1400人とのこと。
下 蒲 刈島の場 所 https://tabetainjya.com/