皆さんは、拒食症を知っていますね。
やせた~い、やせた~いと願うがために、食べ物を取らなくなる病気です。
では、今回のテーマである過食症。これを知っている人は、どのくらいいますかね。
過食症は拒食症と同じように、食事の仕 方に問題がある病気です。
食べ物を大量に食べては、わざとゲゲーッ!と吐き出すというのが特徴で、
ダイエットの反動やストレスが原因で起こります。
これを放っておくとウツになったり、心臓が悪くなったり、
ときにはひきこもりの原因になる場 合もあるので、注意が必 要です。
以前は、青 年 期の女性がよく発症するとされていましたが、
最近は小・中 学 生の間でも目立つようになってきました。
どんな病気なのか、例を挙げて説明します。
Aさん(10歳)は、小 学 校の成績はトップクラス。テニスも頑 張っていました。
しかし「試合で勝つには太っちゃいけない」というストレスが大きくなり、
朝 食・昼食をほとんど食べなくなりました。
そのうち反動で、お菓 子や果物といった甘い物を食べては吐き出すようになり、
学 校も休みがちになりました。
Bさん(15歳)は、毎日自転車で40分以上かけて学 校に通っていました。
しかし、高校受験があるので電車通学に変えたところ、少し太ってしまいました。
そんなある日、友人に「デブ!」と言われたのがショックで、ダイエットを始めました。
急に始めたところで、うまくいくはずがありません。逆に無茶食いをするようになり、
「意志が弱いワタシ」と自分を責め、指をノドに突っ込んでは吐く、という行為を繰り返すようになりました。
Aさん、Bさんは、なぜ過食症になったのでしょうか?
ある本には漠然と「日本の社会がいけない」と書いてありましたが、
そういう面は確かにあると思います。
社会が普通の子どもではなく、よく出 来る子どもを求めており、
子どものストレスがいやおうなしに高まってしまう、というわけです。
実 際、スポーツでも勉強でも、良い成績を出したら「もっと上を!」と迫られる。
それではリラックスするときがないし、ムカつく気 持ちも蓄積していきます。
女性の場 合は、こうしたストレスに「やせているのが美しい」という感覚があり、
過食症になりやすいようです。
「もっと上を!」という向上心を持つことは必 要ですが、程度問題。
何でもかんでも頑 張り過ぎというのは、やはり、よろしくない。
たまには休んだり、わがままを言ったりするくらいが、ちょうど良いのです。
こういう適 当さ(というか、余裕)が、過食症の予防に繋がって行きます。
さて、この過食症。発症した人を見つけるのが非 常に難しい、という問題があります。
なぜかというと、過食症の患者さんの多くは表 面 的には明るく活発だし、
自分から治療を求めることがありません。
また、トイレに隠れて食べ物を吐くので、現場を押さえるのはほぼ不 可 能です。
そこで、過食症発症の警告となる兆候を、10項目に整理してみました。
ここに挙げたような兆候が6個以上現れたとしたら、要注意。
もし、②と③を含んでいた場 合は、できるだけ早く、専門の医師に受診させるようにしてください。
① 仲間との食事を避ける
② 食事中や食後に頻繁にトイレに行く
③ トイレや風呂場に嘔吐の後がある
④ 冷 蔵 庫や食器棚の食べ物がよくなくなる
⑤ 家の中の至る所でお菓 子やケーキの包み紙が見つかる
⑥ コンビニへの散歩が習 慣になる
⑦ よく食べ物を買うのでお金が不足している
⑧ 一 人で夜遅くまで起きている
⑨ よく自分の体重を計る
⑩ 虫歯が増える