前回、ひきこもり防止に繋がる言葉の一例として、
「学 校行けないのか。じゃあ行かなくていいよ」という言い方をあげました。
でも、実際に自分の子どもが「学 校行かない」と言ったとき、
その言葉がすっと出て来るかというと・・・中 々難しいんじゃないかと思います。
「はやく準備しなさい!」「途中からでも行きなさい!!」
と、不機嫌そうに言ってしまいそうです。
そこで、どういう言い替えをすると効果があるのか?
その『一般論』というか『理論』のようなものはないか、色々と調べてみることにしました。
まぁ、調べると言っても、本屋さんの自己啓発のコーナーに並んでいる話し方の本を、
いくつか立ち読みしただけですけどね。
さすがに売れている本は、凄いです。
コミュニケーションを上手に取るための方 法が、分かりやすく提 示してありました。
しかし一 方で、単なる小手先のテクニックじゃん・・・と、
薄っぺらな印象を受ける本が多かったのも事実です。
そんな中で、岡本純子さんの『世界最 高の伝え方(東洋経済)』は、大 変参 考になりました。
人の心を動かす話し方として、子どもの場 合も書かれていただけでなく、
その話し方がなぜ良いのか、科 学 的根拠も提 示してあったからです。
「これはちゃんと読まなければ・・・」と、早速購入しました。
たとえば、「早くしなさい。勉強しなさい。いい加減にしなさい。〇〇したらダメ!」
こんな、『叱る』、『命令』、『正論の押し付け』という行為は、
子どもを嫌な気分にさせるだけで効果がない、と研 究結果を引 用しながら述べています。
では、良い話し方とはどんなのか? そしてその根拠は・・・?
キーワードは、次の4点です。
『具体化』、『大から小』、『提案』、『選択』。
まず『具体化』から。これは、抽象的・精 神 的な表現ではなく、
行動のイメージが湧くような言い換えをする、ということです。たとえば、
「早くしなさい」➡「7時15分までに準備できる?」
「集中しなさい」➡「スマホを棚の上に置いてみようか」
次に『大から小』。
これは、大きなお願いをしてから小さなお願いをする、というテクニックです。
たとえば、「椅 子を5個運んでくれる?」→「え~、いやだ~」→「じや、3個で」
次に『提案』。これは、上から目線にならないような言い方に換えるということ。
たとえば、「宿題しなさい」➡「宿題しようか?」
「早く寝なさい」➡「○○時からベッドで絵本を読もうか?」
なんか、反抗しにくい言い方ですよね。
最後に『選択』。これは、文字通り選 択 肢をいくつか示すというやり方。
たとえば、「トイレ掃除とお風呂掃除、どっちをやってもらえる?」
「ちょっと手伝ってもらいたいんだけど、午前と午後どっちが都合いい?」
これなんか、大 人にも使えますね。
子どもに対する良い話し方として、他にもいろいろあげてあり、
中には私と意見が異なるところもあったのですが、
ここでは、ひきこもり防止に繋がる考え方に焦点を当てたいので、
相違点についての話をするのは、今回はやめておきます。
さて、この岡本さんの本で最も参 考になったのは、子どもをもっと褒めようという主 張です。
◎『褒める』=『甘やかす』ではない。
◎人によって好みの褒められ方がある。
◎褒める(書籍ではポジティブ)と叱る(書籍ではネガティブ)の割合は、3対1、あるいは6対1がよい。
◎褒める→叱る→褒める というサンドイッチ話法は子どもを混乱させるだけ。
◎褒めるときは具体的に。たとえば、
「よくできたね」➡「おもちゃをもとの場 所にきれいに戻せたね」
「助かったよ」➡「〇〇をしてくれて助かったよ」
「頭がいいね」➡「この難しい問題、よく解けたね。一生懸命やったんだね」
ほんの小さなことも見逃さず、承認してやり、感 謝の意を表明し、そして、褒める。
このような小さな行程の積み重ねが、ひきこもり防止に一役を買うことは間違いない。
岡本さんの本を読んで確信しました。
「世界最 高の伝え方」
人間関係のモヤモヤ、ストレスが一気に消える!
「伝説の家庭教師」が教える「7つの言い換え」の魔法
著 者:岡本純子 発行所:東洋経済新報社