以前、ハルモニ@ホーム研修で宮田量治先生と意見交換をさせて頂いたとき、
「ひきこもりにつながりやすい言葉だけでなく、ひきこもり防止につながる言葉も提 示したらどうか」という話になり、そのうちいくつかはこの連載でも紹介しました。
さて、今回紹介する2冊の本。
『小児科医のぼくが伝えたい最 高の子育て』(高橋孝雄:マガジンハウス新書)
『高学歴親という病』(成田奈緒子:講談社α新書)
どちらも著 者は、小児科医です。
「子育てに対する考え方を見直そう」という観点で書かれているだけあって、
ひきこもりに効くと思われる言葉と、効かないと思われる言葉、
この両方をたくさん見つけることができました。
ここにいくつか、提 示しておきます(表現は一部修正しました)。
まず、『最 高の子育て』から。
「あなたのためを思って言っているのよ」
「こんなことも分からないの?」
「夢をあきらめちゃだめだ」
「~~ちゃんはできているのに」
「早く片付けなさい」
「学 校に行けないのか。じゃあ行かなくていいよ」
「すごいな~、よくできたね」
「あなたが自分で決めていいよ」
「そうだね。そのとおりだね」
「そういう考え方もあるね」
次に、『高学歴親という病』から。
「なんでやらないの?」
「だからあんたはダメなのよ」
「こんなちょっとしたことで怒る?」
「このままじゃ大 変だ」
「どこが苦手かな?」
「おとうさんは昔、こんな失敗をしたよ」
「あなたなら大 丈 夫」
「あんた大物なのかも」
このように分けてみると、教育の正論、というか、親の理想を押し付けようとする結果、
ひきこもりにつながる言葉を自 然に発してしまう・・・そんなパターンが見えてきます。
では、ひきこもり防止に繋がる言葉を掛け続けていたら良いのかというと、それもまた極端です。無気力な子どもになる可 能 性もあり、そこは臨機応変な声掛けが必 要になります。
「いけないことはいけない!」と、はっきり言わなければならないときもあれば、
親は口を出さず、子どもに自由に好きなようにやらせておいた方が良いときもあるわけで、
この使い分けをどのようにするかが、親御さんの腕の見せ所です。
では、この2つのパターンの言葉を、どの位の「割合」でどう使い分ければ良いのか?
その答は子どもの性 格によって異なるし、子どもの心理状態も考慮する必 要があります。
まあ、ご参 考までに数字だけ挙げておくとすると、
ひきこもりにつながりやすい言葉は10%。防止につながる言葉は90%。
これ位の割合で、ちょうど良いのではないでしょうか?
では、その10%をどのタイミングで、どう使うのか?
これこそが大事な点なのですが、その答えはあえて提 示しません。
どうするのが正解かは、子どもを信じ、そして見守りながら、親御さんひとり一 人が試 行 錯 誤をする中で見つけていくことに、大きな意味があると思うのです。
子どもの「共感力」を高めることにつながるキーワードは、親が率先して繰り返す。
「ごめんなさい」「ありがとう」「楽しかった」「おかげさまで」・・・
これらも、ひきこもり防止につながる言葉だと思います。