「高橋優の 明日（あした）はきっといい日（ひ）になる」  

安田（やすだ）女子（じょし）大学（だいがく）で私（わたし）が担当（たんとう）している「からだの科学（かがく）」という講義のシラバス(授業（じゅぎょう）概要)には、次（つぎ）のように記載（きさい）している部分（ぶぶん）があります。

 

時代（じだい）の流（なが）れや社会（しゃかい）の変化（へんか）、文化の変容を背景（はいけい）にしつつ、スポーツの理論（りろん）と方法（ほうほう）を提 示（ていじ）していく・・・えっ、なんか難（むずか）しそうですか? いや、その逆です!

社会（しゃかい）や文化の変化（へんか）は、その時（とき）代時代（じだい）に流行する歌に現（あらわ）れることがある。

そして、人々（ひとびと）の心情（しんじょう）の深層を理解（りかい）していこうというときに、歌詞（かし）の分析（ぶんせき）が役立（やくた）つことがある。

そういう単純（たんじゅん）な話をしていきます。

 

この授業（じゅぎょう）では、ミュージックビデオを見せながら歌詞（かし）の分析（ぶんせき）をしていく、

というコーナーが毎時間（じかん）あるので、「朝イチの授業（じゅぎょう）だけど眠たくならない」と好評（こうひょう）です。

今回（こんかい）は、高橋優さんの『明日（あした）はきっといい日（ひ）になる』を分析（ぶんせき）した結果（けっか）を紹介（しょうかい）します。

2015年（ねん）のエディットバージョン(short size)というやつで、ミュージックビデオは、

次（つぎ）のURLで検索（けんさく）すると出（で）て来（き）ます。https://www.youtube.com/watch?v=cpIa89_rZoA

以下（いか）、太字部分（ぶぶん）は高橋優『明日（あした）はきっといい日（ひ）になる』からの引用（いんよう）です。

 

明日（あした）はきっといい日（ひ）になる いい日（ひ）になる いい日（ひ）になるでしょう

何度（なんど）もこのフレーズが出（で）て来（く）るので、「元気（き）になろう」というプラス思考（しこう）の歌（うた）?

と、感（かん）じたかもしれませんが、歌詞（かし）はもう少（すこ）し深い内容（ないよう）になっています。

マイナスな部分（ぶぶん）を受（う）け入（い）れ、その上（うえ）で前に進（すす）もうという、

このコラム(2021.05.16、2021.06.20)でも解説（かいせつ）した「積 極 的（せっきょくてき）マイナス思考（しこう）」が、

含（ふく）まれているのです。

 

くたびれた顔で 電車の中 揺られてる人（ひと）を見た 勇気（ゆうき）振り絞って 席をゆずってみた

「大 丈 夫（だいじょうぶ）です」と 怪訝（けげん）そうに断られたそのあと きまり悪そうに 一人（ひとり）分空（あ）いたまんまのシート

皆（みな）さんも、席を譲ったのに断られた、という経験（けいけん）はありませんか?

そのときは、なんかやるせない、というか、割り切（き）れない気持（きも）ちになりますよね。

 

まぁいっかと割り切れなければ とっておきの笑い話にしよう

そうさ 明日（あした）はきっといい日（ひ）になる いい日（ひ）になる いい日（ひ）になるのさ

笑い合えたらいい日（ひ）になる いい日（ひ）になる いい日（ひ）になるでしょう

でもそんなときは、べつに感謝（かんしゃ）される事（こと）を求（もと）めたわけではないし、譲った人（ひと）にラクしてもらおう・・と心から思（おも）ってやった事。「自分（じぶん）、よくやった!」と褒めましょう、

と半ば無理（むり）矢理（やり）、気持（きも）ちを切（き）り替（か）えようとしています。

 

悲しみはいつも 突然（とつぜん）の雨のよう 傘も持（も）たずに 立（た）ち尽くす日もある

みなさんの過去（かこ）を振り返ってみてください。楽しい事（こと）ばかりではなかったですよね。

イヤな出 来 事（できごと）、失敗（しっぱい）をたくさん経験（けいけん）したはずです。

ときには、挫折（ざせつ）を味（あじ）わう事（こと）もあったのではないでしょうか。

 

降られて踏まれて地は固まる そこに陽がさせば虹が出（で）る

そうだ 明日（あした）はきっといい日（ひ）になる いい日（ひ）になる いい日（ひ）になるのさ

どの出来事（こと）も君を彩る 絵の具になる 絵の具になるでしょう

 

思（おも）い通（とお）りの 人生（しょう）じゃないとしても それも幸（しあわ）せと 選ぶことは出来（でき）る

まぁいっかと割り切れなければ とっておきの笑い話にしよう

でも、考（かんが）え方（かた）の幅を広（ひろ）くしておけば、きれいな虹が突然（とつぜん）出（で）て来（く）るような事（こと）も起きます。

絵の具はどんな色にも変わることが出来（き）ます。絵の具の色に不要（ふよう）な色が無（な）いように、

どんな出来事（こと）も考（かんが）え方（かた）次第（しだい）で、幸（しあわ）せに変（か）える事（こと）ができるのです。

 

明日（あした）はきっといい日（ひ）になる いい日（ひ）になる いい日（ひ）になるのさ

笑い合えたらいい日（ひ）になる いい日（ひ）になる いい日（ひ）になるのさ

今日（きょう）よりずっといい日（ひ）になる いい日（ひ）になる いい日（ひ）にするのさ

君が笑えばいい日（ひ）になる いい日（ひ）になる いい日（ひ）になるでしょう

あなたが堅い表情（ひょうじょう）をしていたら相手（あいて）も堅い表情（ひょうじょう）になります。

あなたが笑（わら）うと相手（あいて）も笑います。

このことはミュージックビデオの最後（さいご）の部分（ぶぶん）で示していますが、

高橋優さんの他（ほか）の歌（うた）にも同様（よう）なシーンが出（で）て来（き）ます。

 

世（よ）の中（なか）には、理不尽、矛盾（むじゅん）といったマイナスな部分（ぶぶん）が多（おお）く存在（そんざい）します。

それを少（すこ）しでも無（な）くしていこう・・というプラス思考（しこう）も必要（ひつよう）です。

しかし、今（いま）の時（とき）代に求（もと）められているのは、そのことを認（みと）め、

理解（りかい）した上（うえ）で進（すす）んでいこうという「積 極 的（せっきょくてき）マイナス思考（しこう）」ではないでしょうか。

 

この歌（うた）がヒットしたのは、昭和（しょうわ）の「ガンバレガンバレ」とはかなり雰囲気（き）が異（こと）なる「積 極 的（せっきょくてき）マイナス思考（しこう）ソング」だから・・・というのが、友末の分析（ぶんせき）ならびに見解（けんかい）です。