今回のWBC優勝。いや~凄かったですね!
二 刀 流大谷、名将栗山監督、マッチョマン吉田、村神様、たっちゃん(ヌートバー)・・・
全員の名 前を挙げたいくらいの『結束力・団 結 力』の勝利でした。
でも、「日本の勝利に最も貢献したのは誰?」と問われると、
私だったら迷わず、ダルビッシュを挙げます。
メジャーの選手だとどうしても自分の・・・というか、
所属するチームのための調整が最優先事項になってしまうので、
大会の直前に代表に加わるというかたちが、これまでのパターンでした。
なので、ダルビッシュが3週間も前の宮崎合宿から参加したことに、まずビックリ!
そして、自分の調整を後回しにし、皆の練習に付き合い、メジャー対策を直に伝え、
食 事 会を何 度も開き、明るい雰 囲 気作りに心を砕く(むろんその費用はダルビッシュ持ち)。
この献身的な姿勢にはビックリを通り越し、強い感銘を受けました。
2005年、ダルビッシュが日本ハムに入団したとき、
こんな頼もしい姿を誰が想像したでしょうか?
今でも覚えているのは、彼が高校卒業前にパチンコ店で喫煙をしている姿。
写真週刊誌で見ました。球団からは、無期限謹慎の処分を受けるという始末です。
実際、彼はワル、わがままということで、素材としてはピカ一なのに、
ドラフトでは多くの球団が手を引き、日ハムの単独指名となりました。
この選手は、素行は悪いが只物じゃない。その「只物じゃない」というところに、
他球団のスカウトは気 付かなかったのですね。
かつてのカープの木庭スカウトなら、彼の持つ力を第一印象で見抜いたに違いありません。
そして、喜んで指名していたでしょう。
さて、この『人間の素質をどう見抜くか』という話。実はこれがたいへん難しい。
なぜなら、本当に人の『芯』の部分まで見抜こうとすると、
その人の善の部分と悪の部分、その両方を捉えた上で、
善悪の振 幅の大きさにも目を向ける必 要があるからです。
ふつうは、善の部分に注目をしますが、善だけの人はいないし、悪だけの人もいません。
そのことを押さえた上で、悪に陥らないよう教育するところに、
大きな意味があるのではないでしょうか。
品行方正で真面目なだけだと、善悪の振 幅は小さくなり、
大きなプレッシャーがかかったときに、力が発揮できません。
一 方、やんちゃでハングリーだとどうなるか。
善悪の振 幅は大きくなりますが、ここ一 番というときに力が発揮できるのです。
これまで、50年以上スポーツ選手を身 近で観察してきて、そう感じます。
もちろん、例外はあるし、プラスとマイナスの振幅があまりに大きすぎると、
マイナスに突き進んだときに困ることになるので、
この経験則は、あまり人には押し付けないようにしていますが・・・
カープの「やんちゃ」というと、昭 和50年 代に活躍した江夏豊投手ですね。
彼のピッチングには、いつどんなときにも余裕がありました。
サイン通りのボールを投げず、キャッチャーを困惑させたり、
投手をわざと四球で歩かせ疲れさせたり、見ている方には面白いピッチャーでした。
間 違えないで欲しいのは、彼はプラス思考一辺倒ではなかった、ということです。
「打たれるかも知れん。でも、1点取られたってどうってことない」と、
マイナス思考に陥っても冷静でいられることが、強さに繋がっていたのです。
マイナス思考も見方を変えると、ストレスから逃げないという強さにつながります。
そして、振幅が大きければ大きいほどストレス耐性が高まる、ということもお分かりでしょう。
さて、こうした人間の『二 面 性』『矛盾』『善悪同居』を、私たちはどう捉え、どう答を出し、どう進んで行けばよいのか。
そして、一個人のことに留まらず、国家として、人 類として、どう進んで行けばよいのか。
ただ単に倫理の基準を答えとして示すだけでは、紛争・戦 争は無くなりません。
ということは、醜い未来が待っているのか・・・?
人間が苦しむ姿には、美しさ・凛々しさ・崇高さも同居している(これも二 面 性の一つ)。
ということは、美しい未来が訪れるのか・・・?
さて、このどちらの可 能 性が高くなるのか?
人間の本質を見抜いた上での、二 者 択 一ではない行動選択を、
今度のG7あたりで具体的に提 示したらどうなんでしょうね~~~??
小さな子どもにも価値のある大会となった今年のWBC。
ダルビッシュはサインの求めに応じるとき、子どもたちから先に書いていく。