コンテンツ

さまざまなおなやみにたいするお役立やくだ情報じょうほう発信はっしんしています。カテゴリを選択せんたくすると、
関連かんれんするコンテンツが表示ひょうじされます。になるコンテンツをチェックしてください。

 

コラムだい42かい Dr.友末のゼミ風景ふうけい日本にほん福祉ふくし、欧米の福祉ふくし

わたしのゼミには、欧米の福祉ふくし障害しょうがいたいするかんがかたまなぶ、という授業じゅぎょうが1コマある。

学生がくせいたちは 「日本にほん外 国がいこく福祉ふくしちがうの?」 といぶしがるが、

 

日本にほん福祉ふくしは、保護ほごする、援助えんじょするというかんじだが、欧米はそこにとどまらない。

できる所はさせて伸ばし、保護ほご援助えんじょ必 要ひつようとしない状態じょうたいにまで回 復かいふくさせようとする。

こんなおおきな文化的相違があることを確認かくにんしたうえで、

「どっちがい、わるいじゃない。両 方りょうほうい所をれる方 法ほうほうかんがえてもらう」 とはなすと、

半分はんぶんくらいの学生がくせい納 得なっとくしてくれる。

 

しかしこのテーマ。実 際じっさい授業じゅぎょうはじめてみると、ほぼ全員ぜんいん意見いけんを述べてる。

ここでは議論ぎろんが白熱する部分ぶぶんを、3つほど紹介しょうかいしておく。

 

1つ目は、障害しょうがいの表記。

英語えいごだとhandicap とか disaible が直訳ちょくやくだが、欧米ではそんな否定的な用語は使わない。

神様から特別とくべつな使命をあたえられた者という意味いみで challengingという語を使つかったり、

障 害 者しょうがいしゃスポーツは適応てきおう性 (Adaptation) をたかめるという意味いみで、Adapted Sports

表 示ひょうじする。ホント、すばらしいい換えだとおもいません?

 

こんなことは、日 本 語にほんごでは不 可 能ふかのう

せいぜい、『しょうがい』 と害の字を平仮名に置き換えるくらいなのだが、ここで議論ぎろんはじまる。

「そういう配慮はいりょすくなくとも必 要ひつよう。朝日新聞でも平仮名だし、中学ちゅうがくとき先生せんせいわれた」 と、

賛成意見いけんたかとおもうと、

「害という漢字かんじを騒ぎたてるほうが、よほど差別意識いしきつよい。表記よりも気 持きもちが大事だいじ

反 対はんたいする学生がくせいる。

 

話がまとまらないので、「どうおもう?」 と障害しょうがいのある学生がくせいに尋ねると、

「表記よりも制度せいどのことをかんがえてしい。そんな細かいこといちいちにしていられない」

とピシャッとわれ、反 対はんたい意見いけんち着く。

 

2つは、障 害 者しょうがいしゃにどう声をけるかという問題もんだい

欧米のスタンスは、はっきりしている。「たすけをもとめていないときは、ほうっておく」 のだ。

しかし、ここは 『保護ほごする・援助えんじょする』 の日本にほん真 似まねする必 要ひつようはない。あなたはどうする?

いかけると・・・

 

声をけたらおこられた、というような苦い経験けいけんがある学生がくせいが、すぐにノーとう。

そもそも、障害しょうがいをマイナスとおもったり、可哀そうとおもうのは失礼。

気遣いは必 要ひつようだけど、過度になってはいけない・・・と。

 

一 方いっぽうで、イエスとこたえる学生がくせい同情どうじょう不要ふようなのはかるけど、無視したりき放すのはよくない。

なに手 伝てつだえることはありますか?」 とちゃんと目をて尋ねたらよい、とちからを込める。

 

これもまとまりそうにないので、わたし体験たいけんす。

もう20ねん以上いじょうアストラムラインでかよってるけど、席を譲ろうとして何回なんかい断られたことか。

でも、わるくされても関係かんけいない。そんときは 「あっ、よろしかったですか」 とって、

またすぐ座ることにしている。

 

うと、声をけないよりはけたほうがいのかな、

というになってくれる学生がくせいがいるので、つぎのようにまとめる。

 

声をけたほういとおもうけど、自 然しぜんにさりげなくできるかどうかだよね。

欧米のひとたちは、これが上手い。障害しょうがいということにたいしてあまり構えていないというか、

障害しょうがいしゃ自立じりつできるような距 離きょり感覚かんかくがある。

日 本 人にほんじんは親切だけど、おせっかいになったり、たすけてあげるというような、

上から目線めせんになるからいけない。本 人ほんにんの尊厳ということも、かんがえる必 要ひつようがある。

 

3点目は、フジの24間TV。障 害 者しょうがいしゃとタレントがなが距 離きょり一緒いっしょはしるというやつ。

これも賛 否 両 論さんぴりょうろんになる。

 

欧米では障 害 者しょうがいしゃスポーツの番組がたくさんあるのに、日本にほんは地上波ではあまりながれない。

24間TVは障 害 者しょうがいしゃ理解りかいに繫がるし、たいひともいるみたいだから、別にいいんじゃない。

と、肯 定 的こうていてきとらえる学生がくせいがいる反面・・・

いことをしてあげるという雰 囲 気ふんいきがイヤ。障 害 者しょうがいしゃを弱者とていて全然よくない。

と、こうから反 対はんたいするものもいる。


わたし意見いけんはどちらかというと後者りだが、この授業じゅぎょうは答をすのが目 的もくてきではないので、

「色んなかんがかたがあるよね。賛成も反 対はんたいもあって当 然とうぜん」  と明 確めいかくにはこたえないようにしている。

 

この授業じゅぎょう最 後さいごでは、アメリカの障 害 児しょうがいじ教育きょういく状況じょうきょう紹介しょうかいして締めくくる。

以下いかは、ニューヨークで障 害 児しょうがいじそだてて日本にほんに戻ってきたおかあさん (専門せんもん学 校がっこう授業じゅぎょう出 会であいました) のレポートを要約したものだ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

わたしの娘は重 度じゅうど障害しょうがいがありましたが、アメリカでは障害しょうがいのある子は優先ゆうせんてき教育きょういくけることが出ます。娘が2さいになると専 門 家せんもんか自宅じたくて、セラピーをしてくれました。3さいのときには 「スペシャルニーズクラス」 というスクールに入り、タッチパネル式の最先端の教育きょういくけました。5にんどもを7にん先生せんせいがサポートしてくれる、という手厚い教育きょういくです。日本にほんに帰ってたとき、目の前が真っ暗になりました。保育園、ならごと、すべて断られました。理由りゆうは、ほか迷惑めいわくがかかるから。障 害 児しょうがいじ専門せんもんのスクールはあるのですが、親の送迎そうげい必 要ひつようです。日本にほんでは障害しょうがいつ子の親は、仕事しごとくことをあきらめざるを得ません。わたしがいま専門せんもん学 校がっこうまなんでいるのは、介護かいご福祉ふくし資格しかくり、障害しょうがいつ子のおかあさんたちに、 「自分じぶん人 生じんせいをあきらめて欲しくない」 とつたえたいからです。わたしがいなくなった後も、娘がしあわせにらすことが出 来でき社会しゃかいになるよう、活動かつどうつづけていきたいです。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

日本にほんいまは、欧米の福祉ふくしかんがかたを採りれようとしているのだが、

このようなはなしうかがうと、欧米の福祉ふくしはるさきっているようながする。

 

これについては、全員ぜんいんが同意見いけん

ひきこもり対策たいさくとかフードバンクなどもふくめた福祉ふくし関連かんれんする予算を、

欧米並みに大幅に増額すべきではないかまずは広 島 県ひろしまけんから・・・というような

行政ぎょうせいたいする注文もた。

 

「バリアフリーの街、広島ひろしま」、「ひとにやさしい広 島 県ひろしまけん」、「笑 顔えがおが広がる広 島 県ひろしまけん」・・・

わたしのコピーはセンスがないが、 「住みやすい広島ひろしま」 というイメージが定着ていちゃくすると、

県外けんがい転 出てんしゅつしていく人、大幅に減ること間ちがいない!