本コラムで提唱している『積 極 的マイナス思考』。
大学の講義でも1コマ使って説明していますが、「理解しにくい」という学生が多いですね。
ネガティブな語『マイナス』に、ポジティブな語『積 極 的』がくっついているので、
「何これ?」と、最初はちぐはぐな感じを受けるようです。
世の自己啓発本のほとんどすべてが、「プラス思考=良い、マイナス思考=悪い」を大 前 提としていますから、その常識とは異なる考え方を理解してもらおうというときに、
時 間がかかるのは当 然かもしれません。
そこで今回は、分かりやすい実例として、選手としても活躍したプロ野球の野村克也監督(1935~2020)のボヤキ。
これを、4つの思 考 法(積 極 的プラス思考、消 極 的プラス思考、消 極 的マイナス思考、積 極 的マイナス思考)で説明してみることにします。
勝ってもボヤク、負けてもボヤク。ノムさんボヤキの本質は何だったと思いますか?
私は「現実が理想に届いていない屈辱的状況の表現」と捉えていますが、
これを4つの思 考 法で説明すると・・・
第①段階・・・「理想と現実との間にあるギャップ」「怒り」「嫉妬心」といったマイナスの要
因に目を向ける(消 極 的マイナス思考)
第②段階・・・最悪の事態までシミュレーションする(積 極 的マイナス思考)
第③段階・・・マイナスのエネルギーを「努 力」「集中」「周到な準備」といったプラスのエネ
ルギーに変えていく(積 極 的プラス思考)
野村監督は、この ① → ② → ③ の流れをうまく使いこなしていました。
マイナス思考を最 大 限に活かし、マイナス思考が逆に「強み」になっていたほどです。
ただし、この考え方がはまったのは、キャッチャーだったからですね。
キャッチャーはゲーム全 体を見渡さないといけないので、
繊細、かつ、幅 広い考え方を持つ必 要があります。
自分の得意とするポジションの特性をよく知っていたからノムさんは成功した。
そういう言い方もできるでしょう。
ピッチャーが、マイナス思考ではいけませんよ。
「さっき、あそこに投げたら打たれた!」
キャッチャーがそう思って対策を取ろうとするのは良いのですが、
ピッチャーが過 去のことを引きずってはいけません。
「打てるもんなら打ってみろ!」という闘 争 心を持ち、
かと言って、無理にプラス思考になる必 要は無く、
「周りは関係ない。自分は自分。いちいち口出すな!」というような、
少し変わった性 格の選手の方が、ここ一 番で大きな力が発揮できるのです。
たとえば、古葉監督時代に活躍した左腕の川口和久投手。
彼なんか変人というと失礼ですが、プロのピッチャー向きのきつい性 格をしていました。
「自分の投げたい球しか投げない」というスタイルで、キャッチャーのサインにはいつも首を振ってたし、ランナーが塁上にたまったときなど「いちいちマウンドに駆け寄って来るな」というオーラを発していました。
でも、踏ん張るときは踏ん張るのです。あれは巨人戦だったと思います。
四球を出しては打たれ、出しては打たれで、初 回に6点も取られたときがありました。
監督に「話にならん! こんな展開で他のピッチャー使うの馬鹿らしい! この試合お前にやった! 好きにやってくれ!」と叱られ、2回以降はパッと気 持ちを切り替えて完投勝利。こんな芸当ができる選手は、今のカープではちょっと思い当たりませんね。
他球団には、いますよ。
昨季、カープがコテンパンにやられたタイガースの大竹耕太郎投手。
ウォーミングアップのときなど完全に自分の世界で、変人っぽいところがありますが、
この人には下手すると、今年もカープはやられるかも知れません。
さて、この「周りが見えていない。ちょっと変人」という特徴。
これって、ひきこもりの特徴のひとつじゃないですか。
しかし、裏を返せば、興味のある活動には長 時 間 集 中できるということで、
大きな長所と捉えたらどうでしょう。
その活動の多くはネット・ゲームなので、そこでの集 中 力が他の生 産的な活動で発揮できるのかと問われると、「う~ん、なかなか難しいかも…」としか答えられませんが、
*** ゲームを通じた出 会い ***
これが少しずつでも増えていけば、ひきこもり解決につながる可 能 性は大いにある!
そんなふうに私は考えます。