「ペットと触（ふ）れ合（あ）う」

テニスの研 究 者（けんきゅうしゃ）、兼（けん）、指 導 者（しどうしゃ）として活動（かつどう）を始（はじ）めてから40年（ねん）以上（いじょう）経過（けいか）しました。

40年（ねん）も続（つづ）けると選手（せんしゅ）をどう指導（しどう）すべきか、原 理（げんり）原則（げんそく）の様（よう）なものが見（み）えてきます。

そのひとつが、指導（しどう）は状況（じょうきょう）に応（おう）じ、相手（あいて）に合わせて行（おこな）わなければならない、という原則（げんそく）。

 

スポーツ界（かい）には、「こうすれば伸（の）びる」というマニュアルのようなものが存在（そんざい）しますが、

どの時（とき）点で、どう指導（しどう）するかは、選手（せんしゅ）により変（か）える・・・これが大 原 則（だいげんそく）なのです。

 

ときには、何（なに）も指導（しどう）せず、選手（せんしゅ）自身（じしん）が答（こた）えを見 付（みつ）けるよう敢（あ）えて放（ほう）っておく・・・

そんなマニュアルとは反 対（はんたい）の指 導（しどう）をした方（ほう）が、逆（ぎゃく）に伸（の）びて行（い）く場 合（ばあい）もあります。

ある選手（せんしゅ）にはうまく行（い）ったけど、また別（べつ）の選手（せんしゅ）にはうまく行（い）かなかった・・・

こんなことは、スポーツの指導（しどう）の世界（せかい）では日 常 茶 飯 事（にちじょうさはんじ）です。

 

と、ここまで書（か）いてきてふと思（おも）ったのは、

これって、ひきこもり支援（しえん）の場 合（ばあい）も同（おな）じではないのか・・・? ということ。

 

つまり、ひきこもり支援（しえん）でマニュアルを重 視（じゅうし）する必 要（ひつよう）はない。

状況（じょうきょう）に応（おう）じ、相手（あいて）に合わせて行なわなければならない。

 

こういう姿勢（しせい）を、ひきこもり支援（しえん）の基 本 的（きほんてき）考（かんが）え方（かた）とすると、

1 人（ひとり）1 人（ひとり）に応（おう）じた、無理（むり）のない柔 軟（じゅうなん）な支援（しえん）が広（ひろ）まっていき、

この方 面（ほうめん）の研 究（けんきゅう）も、現場（げんば）を見 据（みす）えた現場（げんば）に役立（た）つものになって行（い）くに違（ちが）いありません。

 

身 体（しんたい）運動（うんどう）の専 門 家（せんもんか）は、すぐに運動（うんどう）を勧めます。

しかし、運動（うんどう）の効果（こうか）を過 信（かしん）してはいけないんですね。

ひきこもり解決（かいけつ）に繋（つな）がる活動（かつどう）は、運動（うんどう）以外（いがい）にも、歌（うた）を歌（うた）う、ペットと触（ふ）れ合（あ）うなど、非常（つね）にたくさんあります。

 

ペットというと、犬（いぬ）は良（よ）いですよ。

ワンちゃんは、人（ひと）の心（こころ）が分（わ）かります。

ワンちゃんを信（しん）じると、それ以上（いじょう）に信（しん）じてくれます。

しっかり話（はな）しかけてやると、ちゃんと答（こた）えてくれます。

 

ワンちゃんは10年（ねん）くらいしか生（い）きられないんだから、年 老（としお）いても大切（たいせつ）にしてやろう。

そして、最後（さいご）のお別（わか）れは一緒（いっしょ）にいてやろう・・・

そのような感 情（かんじょう）が生（しょう）じてきたら、しめたもの。ひきこもりは解決（かいけつ）したも同然（どうぜん）です。