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 Dr.友末のゼミ風景ふうけいよみもの

コラムだい41かい Dr.友末のゼミ風景ふうけい全 身ぜんしん全霊ぜんれいを止めよう」

Lucky, happy and good timing! またまた、面白おもしろい本に出 合であった。
集 英 社しゅうえいしゃ新書しんしょの『なぜはたらいていると本が読めなくなるのか』
著 者ちょしゃは、京都大学だいがく文 学 部ぶんがくぶ出 身しゅっしん文芸ぶんげい評論家ひょうろんか三宅香帆みやけかほさん。

 

わたしがとくに印象いんしょうに残ったのは、なぜほんむのか? といういにたいする回答だ。
①本で得た知識ちしきは、その時 点じてんではやくに立たなくても、いつかどこかで自分じぶんつながっている。
自分じぶん関係かんけいなさそうな知識ちしきでも「れていける余裕よゆう」があるのが、健全けんぜん社会しゃかい
この2点にはまった同感どうかん

 

まず①。これは本や新聞なら可能かのうだが、ネットでは無理むりだとおもう。
ネットは知識ちしきというより単なる情報じょうほうであり、ほか知識ちしきつながっていくということがない。

 

次に、どうすればほん時 間じかんつくれるか? といういへの回答。
日本にほんなが労働ろうどう時 間じかんは、非 効 率ひこうりつでムダな作業さぎょうを減らすと短縮たんしゅくできる。
仕事しごと頑 張がんばりすぎるからつかれ、燃え尽き、うつびょう精神せいしん疾患しっかんいたる。全 身ぜんしん全霊ぜんれいを止めよう。
この2点については、わたしが長年職場しょくば(大学だいがく)で日常にちじょうてき実感じっかんしてきたこと、
そして、書籍しょせきや本コラムで提唱ていしょうしてきたこととおなじであり、はげしく同意どういする。

 

ただ、④を達成たっせいするためには、どうすればよいのか・・・?
このあらたな、また重要じゅうよういかけにたいする回答が提 示ていじされていない。
本 人ほんにんも「本書が提唱ていしょうする社会しゃかいの在りかたは、現 時 点げんじてんでは絵空事えそらごと」と述べておられた。

 

しかし、このようにはっきりかれているところは、すごいとおもう。
著 者ちょしゃ評論家ひょうろんかというより、研 究 者けんきゅうしゃとしての視野しやの広さ、ふところふかさというものをかんじる。
しかしその一 方いっぽうで・・・文系研 究 者けんきゅうしゃ限界げんかいというものも、えてしまったのだ。
どういうことかとうと、この本の論議ろんぎには『心 身 相 関しんしんそうかん』という観 点かんてんけている。
おそらく著 者ちょしゃも、そのことは自覚じかくしていないだろう。

 

体育系たいいくけい研 究 者けんきゅうしゃであれば、④の回答につながる情報じょうほうとして、もっと具 体 的ぐたいてきに、
つぎのようなことを述べる。
▪ 力んだら負け。何事なにごと自 然 体しぜんたいおこなうのがい。
▪ 100%のちからではなく8割くらいでやるときに、パフォーマンスが最 高さいこうになる。
▪ プラス思考しこうはほどほどに。マイナス思考しこうれるほうが、ストレス耐性たいせいたかくなる。
▪ 急ぎ足の生活せいかつは、免疫めんえき機能きのう低下ていかさせ、がんになりやすくなる。
精神せいしん疾患しっかんは、精神せいしんよりも身 体しんたいやわらかくすることからはいると、回 復かいふくしやすい。

 

そもそも体育系たいいくけいは「どうすればほん時 間じかんつくれるか?」という問題もんだい意識いしき念頭ねんとうにない。
「どうすれば運 動うんどうをする時 間じかんつくれるか?」 このいに興味きょうみつ。
しかし、それはたいしたちがいではない。ここでは、研 究けんきゅう分 野ぶんやは違っても、
真面目まじめ日 本 人にほんじん、もっと適 当てきとうでいいんじゃないの・・・」という、
おな問題もんだい提 起ていきをしていることに注目ちゅうもくしたい。

 

そうするとどうなるか。この本にげてあった100以上いじょうもの参 考さんこう文献ぶんけん
体育系たいいくけいむ『身 体 知しんたいち』に関連かんれんする本が1さつもないことに、不 自 然ふしぜんさをかんじるはずだ。
これはつまり「本の知識ちしきはどこかでつながっており、いままで読まなかったジャンルに手をす」
こう仰っておられるご本 人ほんにんに、知識ちしき体験たいけんかたよりがあることを示している。

 

いちゃもんをけているのではない。その逆だ。
読書どくしょということをり口に、日本にほん労働ろうどう問 題 点もんだいてん明 快めいかい提 示ていじされた著 者ちょしゃが、
精神せいしん身 体からだ相関性そうかんせいというプラトンの時 代じだいから議論ぎろんされてきた哲学的てつがくてき考察こうさつくわえると、
現代げんだい、そして将来しょうらい日 本 人にほんじんにも好 影 響こうえいきょうを及ぼすようなすごい本ができそうながする。

 

きこもり、登 校 拒 否とうこうきょひなか二 面 性にめんせい、そして人間にんげんの死というものを肯 定 的こうていてきとらえる。
そして、一日いちにち一日いちにちを淡々とあるがままにきる日常にちじょうを、良しとする。
そんな、救いの文があふれているような続編、是非ぜひみたいですね。

 

この本には接続詞せつぞくしとして「そう」という語が頻 出ひんしゅつする。そう、これは早口でしゃべっているときによくてくる語で、わか女性じょせいは「そ」と、さらにみじかうことがある。著 者ちょしゃ相当そうとうなスピードで文章ぶんしょういていることが、れる。